女性×法律 女性専用車から考えてみると…

女性×法律 女性専用車から考えてみると…

読んだらあしあとをつけましょう!

CARE International Japan Youth Project の木村将成です。今回はそれぞれが興味のあることから記事を書いているいつもとは趣向を変えて、私たちが普段行っている活動の中から考えたことや個人的に深めたことを書いていきたいと思います。

最近CARE Youth では女性×法というテーマでディスカッションや取材などをしてプロジェクトを進めています。元々母体であるCARE International Japan が「女性と女子を活動の中心に据える」としているように、私たちが一つテーマを設定するとしたら何がいいだろう、と考えたときに浮かび上がったのがこのテーマでした。

始めにメンバー内で自由にディスカッションを行いました。そこでいくつか疑問点が出た中で今回紹介したいと思うのが「女性への救済措置が男性への逆差別となっていないか」というものです。

その一例がタイトルにも書いた女性専用車ということです。

NPO法人ジェンダーイコールさん(https://gender-equal.com)との取材を通して感じたことも含めて書いていきたいと思います。

gender= (ジェンダーイコール)

2016年に設立された「ジェンダーギャップのない世界」を目指すNPO法人。旧来のジェンダー意識に基づいた固定観念に問題意識を感じ、子育て世代や子供を中心に広報活動などをされています。(HPより)

今回は活動の目的やビジョンが一致するということで学生団体である私たちの取材を受けていただきました。

さてここからが本題です。

女性専用車両、というシステムについて皆さんはどう思いますか?

少し考えてもらったあとに鉄道会社の大手であるJRの説明を参照してみましょう。

女性専用車両について

車内における迷惑行為防止の観点から、安心してご利用いただける環境を提供するために設定しています。

https://www.jr-odekake.net/railroad/service/train-woman.html

また別の鉄道会社は、

女性専用車両を導入した理由は何ですか?

当社では、女性の自立や男女共同参画社会を目指す社会情勢の中で、チカン行為そのものをなくすことが本来と考え、鉄道警察隊などと連携し、チカン追放キャンペーンの実施や駅職員の巡視等による自主警備、車内及び駅構内での啓発放送、駅構内での啓発ポスターの掲示など様々な取組みを行ってきています。

しかし、現実にチカン行為は無くならず、被害に遭われた女性の方が深く精神的な苦痛を受け、社会参画に支障が出ることがあることなどから輸送の安全性の確保なども総合的に判断し、チカン行為から女性を保護するという趣旨で女性専用車両を導入しました。

Osaka Metrohttps://contact.osakametro.co.jp/faq/detail/78

前提となる情報を読んでもらったところで…

私はこのテーマから次の2つのことを伝えたいと思います。

・ジェンダーバイアス

・暫定措置としての女性専用車両

1.ジェンダーバイアス

いきなりですが先程の鉄道会社の説明を読んで、頭の中に痴漢する側は男性、痴漢される側は女性、と頭の中に思い浮かべた人がほとんどではないでしょうか。

私もその一人でした。しかし、普通に考えれば被害者も加害者も男性だって女性だって想定できるわけで、それ以前にセクシュアルマイノリティの人たちはどうするんだ、という問題もあります。

私は取材を通してこの指摘を受け、自分は大丈夫だ、と思っていた性別に対する固定観念が自分にもあるということに気づかされました。そしてこの問題を「ジブンゴト」として捉えることができるようになりました。このような性別による固定概念をジェンダーバイアスと言います。先方によると、「どんな人でも多かれ少なかれジェンダーバイアスがある。特に自分は大丈夫と思っている人ほどこのことを意識することが大切」というようなことをおっしゃっていました。

もちろん、私はこの議論を通して女性専用車という制度に対して反対する気は全くありません。また割合から言えば迷惑防止条例違反、いわゆる痴漢の被害者はほとんど女性です。

(参考)

だからといって被害に遭う少数派の男性を捨象して考慮しないでいい、というわけではないと思います。この女性専用車両という身近な問題について話したことで、ディスカッションの中で私たちが気づかずに持っているジェンダーバイアスについて考えるいい機会になったと考えています。

2.暫定措置としての女性専用車両

取材をさせていただく中で「ジェンダーバイアス」とともに印象に残ったのがこの言葉です。各鉄道会社の説明や上の表からもわかるように、現在は男性から女性への被害が圧倒的に多く不平等な状態になっています。そしてその不平等な状態を解消するために各企業が暫定的に工夫して行っているのが女性専用車両、というわけです。

つまり、女性専用車両を作ることでは根本的な問題の解決にはなっていないいうことです。イギリスでは、この女性専用車両の問題について議会で議論になったことがあり、「女性専用車両の導入でかえって男性の性犯罪を社会的に認めることになる」「男性が悪いはずなのに女性が追いやられるのはおかしい」などとの反対意見が出たことがあるそうです。(https://newsphere.jp/national/20170901-3

ではどうしたら根本的な問題が解決できるのでしょうか?

男性が女性を性の対象として見てしまうのは小さい頃からのメディアの影響だからメディアを変えなければならない、性犯罪の刑事罰が少ないこともあり再犯率が高いので罰を厳しくするべき、ラッシュの時間帯の電車に女性の割合が少ないことが課題であり、女性が働きやすいような社会にすることで車内に女性が多くなり女性専用車も必要なくなるのではないか…

など、答えは一つではなく様々なアプローチが考えられるのではないでしょうか?そしてそれを実現し、より良い社会を作るために作られるのが法律であり、その法律を作るのは私たち一般市民の声なのだと思います。

法律と女性、というテーマ、少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。

参考ページ(文章中に載せていないもの)

ケアインターナショナルジャパンHP

https://www.careintjp.org/index.html

NHKニュース 痴漢の被害

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191118/k10012181311000.html

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CARE International Japan Youth  project
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