隠れた環境汚染 光害(Light Pollution)
読んだらあしあとをつけましょう!
みなさん、こんにちは。Care International Japan Youth Projectメンバーの滝本智丹です!
皆さん、環境問題と言えばどのようなものが思い浮かびますか?地球温暖化、森林火災、海面上昇、生物の絶滅、プラスチック汚染などなどほかにも多くの問題がありますね。では光害という問題は知っていますか?恐らく知っているようで知らない環境汚染の一つだと思います。そこで今回は皆さんの生活とも深く密接に関わっている光害についてご紹介していきます!この記事では光害がもたらす影響と解決策をわかりやすく伝えていくので是非最後まで読んでみてください!
光害(Light Pollution)とは?
光害は「ひかりがい」と呼びます。光害とは「過剰または不適切に設置された照明により、周囲に悪影響が及んでいる状況」です。照明から出る光が、目的外の方向に漏れたり、周辺環境にそぐわない明るさや色であったり、必要のない時間帯まで、つきっぱなしであったりすることで起こります。光害により、私達は夜空の綺麗な星や惑星が見れなくなってしまったり野生動物に被害をもたらしてしまったりしています。
光害には二種類あります
1、Overillumination「過剰照明」過剰照明とは必要以上の光が使われている照明、誰もいないのについている照明、街灯や野外照明、スタジアムなどの光が当てはまります。
2、Sky Glow 「スカイグロー」「スカイグロー」とは空がオレンジ色や黄色に輝いている状態です。街のある方向に目を向けた際にそこの部分がオレンジ色になっている光景を見たことがある人は多いのではないかと思います。これにより、星は見えにくくなってしまうのです。原因としては、人工光の波長が遠くに届くため視認性が高く、それが雲に反射して赤く見えるという意見が挙げられています。
影響① 天の川が見れない!?
イタリアや米国のチームが米科学誌に発表した内容は、光害の影響で世界人口の3人に1人が夜空に広がる天の川を見ることができずに暮らしているということです。都市化が進んでいる日本では人口の70%が天の川の見えない地域に住んでおり、欧米では60%、北米では80%近くであると言われています。
また、アメリカ、ニューヨークにあるエンパイアステータスビルから見れる星の数は18世紀の人々が見ていた数の1パーセントしか見れないという調査もあります。
これらの被害は対象物の光が夜空に漏れている、放射されていることから起こっている問題です。自然が生み出した最高の宝である星空は、現在先進国や都市を中心に失われつつあるのです。
影響② 野生生物への被害
人工光の影響で多くの生物に被害が及んでしまっています。その一例を見ていきましょう。
Case1 ウミガメ
砂浜を照らす照明はウミガメに被害を及ぼします。ウミガメのメスが産卵のために砂浜に上陸したり赤ちゃんのカメが巣の中か ら地表へ脱出して海へ旅立っていったりする行為は、全て夜の暗闇のなかで行われます。 これは暑さや外敵の目を避けるためです。そのため、夜間の砂浜が明るく 照らされてしまうと、メスはそこを避けるようになってしまいます。また、仮に上陸したとし ても些細な刺激で産卵をあきらめて海に戻ってしまいます。地表に 脱出してきた赤ちゃんのカメは明るい光に照らされると海の方向が分からなくなり、 迷走して体力を浪費し、海にたどり着けないまま朝を迎えて捕食されてし まうことがあります。これらの被害を食い止めるために産卵時期の照明の消灯や家からの光漏れを無くすといった取り組みが必要になります。
Case2 渡り鳥
渡り鳥は、夜間の渡りの際、月明かりや星明かりを頼りに飛ぶ方角を知ります。高層ビルやサーチライトなど、空まで漏れた明るい人工光があると、その光に惑わされて光源に吸い寄せられ、光源のまわりをグルグルと飛び続け、方向感覚を失ってしまうのです。やがて力尽きて地面に落下したり、ビルの明るい窓ガラスに衝突したりして、年間500万~5000万の渡り鳥が被害にあい、北米では年間数億羽が命を落としていると言われています。そのため渡りの時期に照明を少なくするといった行動が必要です。
Case3 その他の生物
その他被害を受ける生物は多くいます。ヨーロッパチヂミボラは時速約1mmで移動する生物です。人工光が多いと水中に居る時間が長くなります。しかし水の中にはカニなどのヨーロッパチヂミボラを捕食する生物がいるかつ逃げ足が遅いことから数が減少しています。
また外来カエルは人工光によって引き寄せられた昆虫を捕食し、勢力を拡大していきます。コウモリも同様にこの影響で餌の取り方が変わっていっています。
影響③ 植物への被害
一般に水稲は短日植物であり、夜間照明によって出穂遅延が生じ、その影響がもっとも強く 現れるのは、出穂前の20~40日の期間であるといわれています。
ホウレンソウの成育は、光に敏感な性質をもっており、夜間照明にさらされる条件下では、 早々と“とう”がたってしまい、商品価値を失ってしまいます。ホウレンソウは都市近郊でも多く 栽培されており、夜間照明の影響が問題になる可能性が高いのです。
影響④ 身体への被害
多くの方がご存じかと思いますが、夜間の光は浴び続けてしまうと人体へも被害を及ぼします。80か国以上で肥満者の7割以上が光害の影響を受けています。また光害の影響で乳がんになってしまう確率が5割以上上がるという研究結果も出ています。夜間に浴びる人工光の量と腫瘍の成長速度には相関関係があり、がんを引き起こす原因に繋がることが近年調査されました。
人は完全な暗闇下での睡眠の際に、メラトニン(睡眠ホルモン)というがんの抑制や骨代謝などに働くホルモンを分泌させます。しかし、夜に光を浴びることは、メラトニン生成を抑制します。また、夜間のメラトニン生成は、日中にどれだけ太陽光を浴びたかにも依存しています。日中に浴びた光が少ないと、メラトニン生成量も少なくなることがわかっています。そのため外出して太陽の光を浴びることや、夜にスマホやPCを見すぎないことは大切なことなのです。
解決するためには・・・
No1 パナソニック 天体観測に影響を及ぼす光害防止のための照明開発
ランプの上部に黒いシートを取り付け、道路と平行に設置することで光害の原因となる夜空への光の漏れをカットできます。一方で、まぶしさの原因となる青色光が少ない電球色を採用して道路の明るさも保つことができます。
No2 私たちができる5つのこと
①照明を必要以上に明るくしない
②必要ないときは照明を使わない
③照明を使う時には確実に覆いをつけ空まで光が届かないようにする
④LEDライトを買う際、選択肢があるのなら青っぽいのは買わずに「温白色」というのを探す
⑤周りの人に呼びかけをする
最後に
光害を調べていくにあたり、「空も被害を受けている」という思い立ちからオリジナルSDGsのロゴを作ってみました!オリジナル18番目のゴール「空の豊かさも守ろう」です。(実際にはSDGsは17のゴールでありこの目標はありません。)
電気は人類の最大の発明であり、私達に多くの恩恵を与えてくれています。しかし、使い方次第で悪影響を生み出してしまうのも事実です。光害は少しの心掛け、行動で解決に努めることができます。イルミネーションや家に灯る温かい光のような感動や癒しを貰う光と、太陽や星空のような自然がもたらした美しい魅力を与えてくれる光を両方とも最大限に楽しむことができる地球を作っていきましょう。地球上の全ての動植物が美しいと感じられる光を守っていきましょう!ご愛読ありがとうございました!
参考文献
TED@NASA ケルシー・ジョンソン 「光害問題を解決する5つの方法」
環境省 光害についてhttps://www.env.go.jp/air/life/hoshizorakansatsu/observe-5.html
綺麗な星空を遮る原因「光害」のことhttp://starryskyoftheworld.seesaa.net/article/390607218.html
神戸新聞 夜空が赤く染まるのはなぜ?https://www.kobe-np.co.jp/news/backnumber/201406/0011512438.shtml
光害.net 報道リンク集 http://hikarigai.net/mediablog/?eid=143
環境省自然環境局日本ウミガメ協議会 ウミガメ保護ハンドブックhttps://www.env.go.jp/nature/kisho/guideline/SeaTurtle_Handbook.pdf
地域照明環境計画策定マニュアル https://www.env.go.jp/air/life/m-syomei/06-02.pdf
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