いじめ問題って?
読んだらあしあとをつけましょう!
こんにちは、CARE Youthの山下ちひろです。
今回は、私たち学生にとって身近で、日本で深刻になっている「いじめ問題」について書いていこうと思います。
皆さんの中にも、小学校、中学校、高校を通して、いじめを受けた経験、見た経験がある人がいるのではないかと思います。
私自身、そこまで深刻ではなくても小学校でクラスの人から無視をされたこともあるし、「菌」などと言われて仲間外れにされている人を見たこともあります。
ただ、皆さんは「いじめ」とはいったい何のことなのかご存じですか?
よく言われていることだとは思いますが、今回はまずいじめの定義から紹介していこうと思います。
<そもそも「いじめ」とは何か>
まず、辞書で調べてみました。広辞苑では、いじめは、
「弱い立場の人に言葉・暴力・無視・仲間外れなどにより精神的・身体的苦痛を加えること」と記載されています。
いじめ問題の対策等を定めている「いじめ防止対策推進法」では、
“児童生徒に対して、(略)他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの”
と定義されています。
これらを総合すると、「いじめ」とは、
「一方が一方に心身の苦痛を与える行為全般」を指すと考えられます。
ある行為を受けた人がそれを苦痛と感じた時点で、その行為は「いじめ」とされるのです。
<いじめ問題の現状>
文部科学省は、毎年「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」という調査で、いじめ問題の現状を公開しています。
直近の2019年度のこの調査では、いじめの認知件数は
小学校:48万4545件、中学校:10万6524件、高校:1万8352件、特別支援学校:3075件
合計61万2496件と、前年度より7万件近く増えて過去最多となっています。
過去からの推移は以下のグラフ4つから見て取れます。
いじめの認知件数、暴力行為発生件数は小学校を中心に急激に増加、
命や身体に被害が生じたり、長期間欠席を余儀なくされたりする「重大事態」は前年度から20%増え、不登校児童生徒数も7年連続の増加となっています。
いじめの現状が数値として増加している背景には、
数年前よりも確実に調査が積極的に行われるようになり、いじめが社会問題として取り上げられ始め学校側や生徒側が隠さずに報告するようになっているため、初期段階での発見ができているからだという分析は間違ってはいないはずです。
しかし、現状として多くの子どもがいじめに苦しんでおり、小学校での状況が深刻化していることからいじめの低年齢化が進んでいることも考えられ、いじめ問題は日本において深刻で解決しなければならないことだとわかります。
<いじめはなぜ起こるのか>
なぜいじめは起きるのでしょうか。
皆さんもお考えの通りだとは思いますが、基本的にすべてのいじめに共通した原因があるわけではありません。いじめは様々な原因が絡み合って起こります。
しかし、いじめが起こりやすい環境は存在します。
〇いじめが起こりやすい環境
・子どもにとってストレスの多い環境
何かの理由で子どもがストレスを感じやすい場では、ストレスのはけ口として誰かを攻撃する、いじめるという行動に結びついてしまいます。
・大人が子どもを見ていない環境
基本的に「いじめは大人に見つかってはいけない悪いこと」という認識がある子どもにとって、大人の目が届かない、大人の目を盗みやすい場、例えば休み時間などではいじめ発生率が高くなります。
・子どもが「いじめをしてもよい」と思う環境
上記と似ていますが、大人がいじめを見て見ぬフリをする、いじめられる方が悪いという考え方をしているなどといった環境では、いじめを正当化する子どもが出てきやすくなります。
・違いや多様性を認めにくい環境
規範が厳しく多様性が制限される、連帯責任が重視される環境では、人と違う特徴があったり異なった行動をする子どもへの圧力が大きくなり、いじめの矛先が向けられる場合も多いのです。
・上下のラベリングがつくられやすい環境
明確な歳の上下でなくとも、能力の微妙な優劣など実質的な上下関係が生まれやすい場合にも、いじめが起こる可能性が高くなります。
これらの原因となりうる環境を概観した時、最も感じるのは
「いじめの原因は大人の言動によるところが大きい」ということです。
成長過程の子どもは、大人に影響を受けやすいものです。子どもにとって圧力となる、余裕のない言動を大人がしてしまうと、それが反映されて子どもが生きづらくなり、いじめの起こりやすい環境になってしまうのです。
もちろん先ほども述べた通り環境だけが要因となっていじめが起こるわけではありません。
しかし、大人が作っている学校や家庭の環境がいじめに大きく影響していることは事実だと思います。
<いじめ問題を解決するには>
では、いじめ問題を解決するにはどうしたらいいのでしょうか。
最も大きく現状を変えられる方法は、やはり
「学校の環境を変える」ということに尽きるのではないでしょうか。
ここまで述べてきた通り、子どもの心理は大人の言動に大きく左右されます。
ですから、教師側がわかりやすい授業をする、多様性や自由を認める、積極的なコミュニケーションを取るなど、子どもにストレスのかからない環境を整えることが大事です。
いじめ対策では、子どもを無理に変えるという視点でなく、子どもを取り巻く環境を変えるという視点が大切です。
また、いじめに関する教育を行うことも解決法の1つになります。
もし自分がいじめられたら、いじめる側だったら、目撃したらなど、子どもがいろいろな立場に立って考えることで、人の痛みを感じやってはいけないという認識を生むだけでなく、自分たちでいじめを止める、いじめられたら相談するなどの解決方法を学ばせ、自力でいじめを抑制する意識を高めることができます。
今回は、日本のいじめ問題について書いてきました。
最後の解決法については、私たちは学生であるため、どちらかというとこういった教育を受ける側です。しかし、私たちの世代からこういった意識を持つことによって、世代が変わっていく中でよりいじめの少ない環境を作っていくことができるのではないでしょうか。
あと数年は受けた教育を実践することを中心に考えつつ、こういった解決方法をこれからしていかなければならないのだという意識を常に持つことが、今後の日本を変えていくのではないかと思います。
今いじめで苦しんでいる子が1人でも多く救われること、そしてこれから苦しむ子が1人でも少なくなることを祈っています。
<参考文献>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201022/k10012676031000.html
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